ほんのちょっと、昔のお話です。

 1997年頃、国産自動車の流行色がバブル時代の黒からシルバーへと移り変わる中で、スポーティな車種のカラーバリエーションに青い塗装色を採用しようという動きがありました。34GT-R、S15シルビア、RX-7、ランサーエボリューション4・5・6、インプレッサSTi、インテグラ、ロードスター、MR2、スープラなどが青い塗装色をバリエーションに加え、あるいはイメージカラーとなって販売されました。

 ではセリカはどうだったでしょう?

 1997年末のセリカST20系最後のマイナーチェンジでは、自動車業界の足並みに歩調を合わせるかのように、青が標準のカラーバリエーションに採用され、約1年半ほど販売されました。

 実は、今までセリカの「青」っていう色は、少量生産の限定版で選ぶことができる特別色という位置付けだったのです。その特別色「青」が標準で選べるようになり、セリカオーナー達は喜び、あるいは新規にセリカを買う人は珍しい青を選んだでしょうか。

 いいえ。そうはなりませんでした。

 まず、ST20系最後のマイナーチェンジ時のイメージカラーは白、つまり広告掲載も白いセリカでした。雑誌記事でも、青については載っていませんでした。運良くディーラーでカタログを見た人も、青には気づいたでしょうが、買い換えるほどではありませんでした。また、新規に購入する人も、無難な白かシルバーを選んだ人が多いようでした。

 結果から言ってしまうと、セリカの青はごく希にトヨタの工場で塗装されるだけという、希少な色となってしまいました (同時にラインナップされた緑は、半年でカタログからも消えた超希少色となった)。

 そんなこんなするうちに、セリカの特別なグレード、GT-FOURが次期フルモデルチェンジで消えるいう情報が出回りました。

 「ああ、GT-FOURはこれが最後になるんだなー。最後のGT-FOURだけ今までとちょっと違うんだよなー。中古でGT-FOUR探しても、最後のやつは出てこないだろうなー。ましてや青なんてないだろうなー。人気ないし、普通はインプレッサやエボ買うよなー」

 なにをとち狂ったのかこのように考えて、青いST20系後期のセリカGT-FOURを買い、少しは青いセリカの事も歴史に残してやろうと考えたのが、このページです。