■ 前期型 GT-FOUR

 1994年(平成6年)2月、セリカST20系のGT-FOUR(ST205)がフルモデルチェンジでデビュー。ボディーとシャシーはST202をベースとし、ターボチャージャーによる大出力、四輪駆動による走破性が大きな特徴です。前モデルのGT-FOUR(ST185)より馬力・トルク、冷却性能をアップさせています。また、同時に2100台限定のWRC限定モデルが発売されました。

 GT-FOURにはマイナーチェンジごとにABS、エアバッグ等が標準装備されていきますが、動力性能の変更はほとんどありません。

■ 外装・内装

 写真は前期型のGT-FOUR。バンパーにはラジエーター冷却用のグリル。ボンネットにはエンジンルームの熱排出用の穴、タイミングベルト冷却用のインテークが追加されています。
 WRC限定モデルにフードエアスクープ、大型リアスポイラーが追加されています。


▼GT-FOUR前期のボディカラー
 
カラー名
カラー番号
 
スーパーホワイトII(WRC限定)
040
  
シルバーメタリック
199
 
ブラック
202
 
スーパーレッドIV
3L2
 
スーパーブライトイエロー
576
 
ディープティールメタリック
752
 
グレイッシュターコイズマイカメタリック
753
 ボティカラーについては、ST202のカラーに加えてWRC限定モデルのみスーパーホワイトIIが追加されています。


▲標準で装備されるエアロパーツは、この当時は一切ありませんでした。写真の大型リアスポイラーはWRC限定モデルのみ設定され、羨望の的となっていました


▲ステアリングは3本スポークの本革巻き。メーターパネル以外はST202と同じです

▲オプションでエアバッグを追加すると、ステアリングは本革巻き4本スポークになります

 前期GT-FOURのオーディオは、ST202と同じです。

  • オーディオ無し + 4スピーカー
  • カセット一体式AM/FMチューナー + 4スピーカー
  • カセット・CD一体式AM/FMチューナー(スーパーライブサウンド) + 8スピーカー

 左はスーパーライブサウンドのコンソールです。コンソール奥にパワーアンプ、助手席下にもウーハー用パワーアンプが搭載されています。このオーディオシステムは独自のシステムを構築しており、他のオーディオシステムに変更する場合に、大きな障害となりました。


■ エンジン

 左はGT-FOURのエンジンルーム。まず目に飛び込むのは黒い水冷インタークーラー。3S-GTEエンジンの真上に乗っており、タービンから送られてきた空気を強制冷却します。この冷却水は電動ポンプでラジエーター前方のサブラジエーターに送って冷却します。

 エンジンへの空気流入量の計測には、Dジェトロのバキュームセンサーが使用されています。これは空気の圧力を測定して流入量を算出しようというものです。

 エンジンルーム内はST202よりみっちり詰まっており、整備性はかなり悪くなっています。


▼GT-FOUR前期のエンジン出力
 
3S-GTE
最大馬力
255ps/6000rpm
最大トルク
31.0kgm/4000rpm

▼フューエルインジェクターの吐出量アップ
ST185
ST205
430cc/min
540cc/min

▼ウォーターポンプの吐出量アップ
ST185
ST205
エンジン回転数
100/min(3500rpm)
144L/min(4000rpm)
 3S-GTEエンジンは前モデルのST185から各所に形状変更が行われ、出力が向上しています。それに伴って補器類も性能に不足がないように容量アップが図られました。

■ ミッション

 左の写真はGT-FOURのE154F型ミッションです。このミッションを介して駆動力がフロントデフ、センターデフ(ビスカス)、リアデフ(トルセンLSD)を通じてホイールに伝わります。


▼MT(マニュアル)トランスミッションの減速比
 
EF154+EF1AV
1速
3.384
2速
1.913
3速
1.258
4速
0.918
5速
0.731
減速比(Final)
4.285

 ミッションの比率は、前モデルのGT-FOURより、ややワイド気味に設定されています。


■ サスペンション・ブレーキ

 フロントサスペンションは左の写真のようなスーパーストラット。リアサスペンションは従来通りマクファーソンストラットです。

 スーパーストラットサスペンションは写真のように変わった形状をしており、理論上はステアリングを切ってもキャンバー角が変わりにくいという特徴があります。レビン、トレノにも装備されていましたが、これのおかげで社外品の選択肢がとても少なかった思い出があります。

 フロントブレーキには、S11Wキャリパー、リアブレーキにS10キャリパーを装備。これは両方ともアルミ製で、ブレーキパッドはスープラと同じものが使用できます。十分すぎるストッピングパワーを発揮しますが、この巨大なキャリパーのおかげでホイールの選択肢が少なくなっていました。

▼各サスペンション・エンジンによる搭載ブレーキキャリパー
フロント
リア
サイドブレーキ
S11W
S10
ハブ内蔵
アルミ製対向式4ピストン式
アルミ製対向式2ピストン式
ドラム式

■ タイヤとホイールサイズ


▲標準で装備される16インチアルミホイール。わたしの感覚では、もう少しマシなデザインがなかったのか…と思います

▲WRCの影響もあって、OZのクロノに変更するというのがGT-FOURオーナーの定番となっていました

 GT-FOURの標準ホイールはPCD100、5穴、オフセット+45です。
  ここまではST202と同じですが、問題なのは巨大なキャリパー。計算上はホイールをタイヤハウス内に納められても、キャリパーと接触して装着できない可能性がありました。それもあって、皆が装着しているOZのクロノを選択する人が数多く見受けられました。


▼各グレードによるタイヤ・ホイールサイズ
グレード
タイヤ幅/扁平率
ホイールサイズ
リム幅
オフセット
材質
GT-FOUR
215/50
16インチ
7.5JJ
+45
アルミ

■ まとめ

 前期型GT-FOURの特徴をおおざっぱですがご紹介しました。当時のインプレッサ、ランサーエボリューションIIと同等の出力を誇り、WRCのベース車両ゆえの特徴が目立ちます。また、防音性、乗り心地も悪くない。逆に言えばすべての方向に中途半端さが見受けられるのが、良くも悪くもこのGT-FOURというグレードをよく表していると思います。

グレード
エンジン
ミッション
ミッション形式
駆動形式

シリーズ

GT-FOUR
3S-GTE
5速MT
E154F+EF1AV
4WD
ST205